フチュッピーの部屋

「 目には青葉 山ほととぎす 初鰹 」 2024年5月6日





 早いもので、令和6年度がスタートして1か月が過ぎました。本校では、1年生も部活動に所属し、自転車通学も始まり、全校生徒400名が新年度の学校生活を順調にスタートさせています。5月病というものが、子供だけでなく、大人にも出てきやすい時期ですが、クラスメートとともに、教職員一同、しっかりと日々の様子を観察し、支えていく所存です。

 ゴールデンウィークと言われる大型連休が終わりました。連休といっても、中学生はこの時期、県の選手権大会という公式戦が県内各所で開催され、運動部に所属する生徒は、何かと練習と試合に追われ、なかなか家族で長期間の旅行に行ったりする時間はなかったかもしれません。私も教頭先生と分担して、応援に出向きましたが、ひたむきにプレーに取り組む選手や、それをベンチから大きな声を出しながら応援するチームメイトに感動しました。勝って喜び、負けて悔しがる子供たち、それぞれが、このチームで最後の試合となる、来月から始まる総体に向けて、決意を新たにしている様子が伝わってきました。私は、中学教員となってからずっとこの光景を見てきましたし、自分自身、半世紀近く前の中学生の頃の記憶がはっきりとよみがえってきます。日々の苦しい練習、そして試合での勝ち負けは、必ず今後の長い人生で少なからず、自分を支える力となるものです。次の目標に向けてしっかりと頑張ってもらいたいです。今大会では、本校のソフトボール部が、県優勝を果たしてくれました。素晴らしい試合運びで、昨年からの成長に驚きました。「より高く」チーム力をアップさせて、より高い目標に向かって邁進してくれることを期待しています。              

 また、ゴールデンウィーク中は、本校の教員は、上記のように県選手権大会に向けての練習や大会の引率だけでなく、5月31日(金)に開催される、研究発表会に向けての大会紀要の作成があり、その指導案の締め切りが連休明けに迫っており、その仕上げに追われます。私が着任した21年前も、全く同じでしたが、少しでも休日に休養してもらい、連休明けからまた元気に子供たちに接してもらえるように、工夫するのが私の仕事なのですが、かつてより原稿のボリュームは減らしたものの、先生方の研究への熱意が下がることはなく、休み中も多くの先生が熱心に取り組んでくれています。こういう姿を見るにつけ、本校で学ぶ生徒は幸せだなぁ、と思うのですが・・・。それをしっかりお知らせしていくのも私の責務なので、ない知恵を絞って、先生方のやる気と魅力を広報していこうと思っています。

 5月に入ってから、本校の校門通りのツツジが咲き始め、その通りに並んで立つメタセコイヤを始め、校内に植えられている100本におよぶ木々(こんなにたくさんあります。生徒の皆さんは1度数えてみてください)から、若葉が勢いよく伸びています。日々大きくなる「鮮やかな緑」には何とも言えない勢いを感じます。パワースポットというわけではありませんが、生徒の皆さんは、附中の樹木の成長のエネルギーを感じながら、それを少しでも吸収して、自分をパワーアップさせて欲しいと願っています。入学式の頃にはまだ、ほぼ満開だった中庭の桜もすっかり緑の葉に覆われました(4月のこのページの写真と比べて見てください)。そして、本校の中庭は、毎年、桜の花びらがすべて散って、青々とした青葉でいっぱいになる頃、その後ろにひっそり(!)とたたずむ、ハナミズキが可憐な白い花を咲かせます。まだチラホラしか咲いていませんが、桜の開花も遅かったので、あと2週間くらいすると満開になるものと思われます。毎年、このハナミズキの紹介とともに、定番の曲を紹介しますが、私の大好きな曲の一つです。

 https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?q=%E4%B8%80%E9%9D%92%E7%AA%88%20%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%82%AD&mid=8BCF5A201E317E1C98DB8BCF5A201E317E1C98DB&ajaxhist=0

 単純な私は、中庭のハナミズキが咲き出すと、毎年、口ずさんでいます。歌詞もそうですが、一青窈さんの歌声も昔からとても気に入っています。この曲は意外かもしれませんが、「平成の時代に最も歌われた曲!」だそうです。最も売れた曲、ではなく歌われた曲ということなので、カラオケ店の集計なんだろうと思いますが、2位を大きく引き離してダントツのナンバー1だったそうです。いろいろな理由があると思いますが、そもそもこの曲は、アメリカで起こった、9.11テロの直後に人類平和を願って作られた曲であるため、世界の情勢を考えての支持も多かったのではないかと思います。今も、世界の一部の地域で起こっている悲惨な戦争の状況が連日報道されていますが、この歌の想いが世界へ届いて欲しいものです。

 話は変わりますが、今の時季、この季節感をよく表した私の好きな俳句に「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という句があります。あまりにも有名なので、生徒の皆さんも耳にしたことがあると思いますが、ちょっとこの句のことを調べてみました。作者は、松尾芭蕉とも親交が深かったという、山口素堂という俳人です。俳句の定型の5-7-5からすると、目に青葉・・・」とする方が、リズムかいいのですが(時々、「目に青葉・・・」と書かれていることがありますが、これは誤り)、あえて「目には」と字余りにしたのは、ほととぎすに対する「耳には」、初鰹に対する「口には」を省いて、青葉に対する「目には」という表現で、初夏に向かう今の季節をより鮮烈に表現したのだろう、ということでした。他にも興味深いことがあって、私は何も文才がないのですが、私の亡父は10代から80年近く俳句を嗜んでいたため、私は何の影響も受けなかったのですが、季語辞典のようなものは、戦前のものから、多数、実家に転がっていて小・中学校で俳句の宿題が出た時だけ、時々見ていました。そもそも俳句というのは、季語が一つというのが原則と思うのですが、この句には、「青葉」「ほととぎす」「かつお」と、3つも季語があり、いわゆる「季重なり」なのですが、そのことを私が子供の頃、父に聞いたところ「300年も経っても名句として知られているんだからええんだよ」的なことを言われて、当時は何の興味も示さない息子に説明してもわからんだろう、と軽く答えられたと思っていましたが、調べたところ、この3つの季語により、初夏の新鮮さが五感で伝わることから、万人に認められたとのことでしたから、まぁ、素人の子供に対する父の答えは全くのデタラメではなかったのかな、と今頃になって思い返した次第です。ちなみに、私の娘である孫に対しては、帰省のたびに小さい頃から俳句の手ほどきをしていたようで、昔、娘が小学生低学年の頃、最近「大谷翔平選手」のスポンサーになったことで有名な某お茶メーカーの作品募集で賞状をもらっていました。スミマセン、個人的なことをだらだらと。この山口素堂の名句から、季節感というものは、視覚・聴覚・味覚そして、臭覚や触覚といった五感で受け止めたいものだと、この歳になって、異常気象が続く昨今だからこそか、しみじみ感じています。温暖化が進み、毎年のように異常気象が報道される今を生きる子供たちにも、日々見逃しがちな季節感というのを、五感で感じることの魅力を伝えていけたらと思います。

 こんなことを考えていると、つい聴きたくなるのが、唱歌「夏は来ぬ」です。https://douyou-shouka.himawari-song.com/natsu-wa-kinu/  私は、70年代80年代ポップスやフォークソングとともに、唱歌も好きで、蓄音機で聴く78回転盤のSPレコードもそこそこ手持ちがあって、大正時代に作られた完動の蓄音機があるので、時々古い曲を聴くのですが(この話題はまたいつか→誰も聞きたくない!<笑>)、これは、鮫島有美子さん(声楽家)のレコードで聴いています。この歌の歌詞のような文語体を味わい、歌詞をかみしめると、ホッとします。生徒の皆さんは、「夏は来ぬ」の「ぬ」は、完了の助動詞で、それが終止形となるため、このタイトルは「夏が来た」という意味であることは、わかると思います。このことは、国語の時間より音楽の時間に先に習うのかな?今、この曲が教科書に入っているかどうか知らないのですが、もし聴いたことがないなら、「日本の歌百選」に選ばれている曲なので、是非聴いてみてください。そして、歌詞の中にある「忍音(しのびね)」、「玉苗(たまなえ)」、「おこたり諫(いさ)むる」、「楝(おうち)」などを辞書を引きながら理解して欲しいです。皆さんがよく聴くラップ音楽などとは、対極のような曲風ですが、今から約130年前の今の季節に世に出たこの名曲を味わうと、我が国の風土の素晴らしさを見直されるとともに、何かと心がギスギスしがちな時、それをほぐしてくれる効果もあるかも知れませんから、時間のある時に聴いてみてくださいね。

 



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