校長室から

♪ 感じるものは 悲しい白い冬 ♪ 2020年12月13日





   将来においてずっと語り継がれるであろう,令和2年という年も師走を迎えました。本当に誰も経験したことがない,1年前の今頃は,中国の内陸部で起こったその地域だけのウイルス感染だろうと,たかをくくっていた私です。たった1年でこんなに世の中が急変するなんて‥。子供たちに,「君たちの生きていく未来は,限りない可能性が広がっています。でも,全く予測不能なことが起こるかも知れません。もし,そういう場面に出会っても,うろたえず,問題を解決していくためにどうすればいいかを多面的に考えるポジティブな姿勢が保てるように,強い精神力と,それぞれの教科で学んだことを結びつけられる,真の学力を養っていきましょう。」等と偉そうなことを,卒業式などに述べてきた私が,未来でなく現在において実際に起こってしまったこの事態に,その場しのぎの対応が多かったこの1年間を振り返って,子供たちのお手本にはとてもなっていなかったと,反省しています。見えない敵(!)と対する難しさ,そして,当初の緊張感が薄まり様々なことに慣れてしまってきた感覚に,教師として,また管理職として校長室で夜な夜な自問自答するのですが,なかなかその成果が出せていません。もう一度,あの分散登校が始まった頃の緊張感を自分に言い聞かせ,その頃のこのページも読み返しながら(たいしたことを書いてない文章故に,能力の無さに余計に落ち込んだりしますが),今一度,当時の気持ちを思い出して子供たちを見守っていこうと肝に銘じている,令和になって2度目の師走の日々です。
   さて,表題の曲は,???ですよね。今までこのページを飽きずに読んでくださっている方々もあまりに年代が違いすぎて,段々と(元々?)興味も薄れていっているかもしれませんが,実は今月は,冬の曲はそれこそ名曲が多すぎて悩むほどで,いつもの歌詞と今の学校生活のマッチングから,「雪の華」や「大空と大地の中で」「案山子」等,多少古くてもいろいろな機会によく流れている名曲で,様々な年代層に馴染みがあってわかりやすい曲をピックアップして文章のイメージを作りかけていたのですが,12月9日に急遽大逆転(そんな風に思っているのは私だけですが)してこの曲になりました(すでに候補にしていた曲はまた近々・・)。たぶんほとんどの方はピンとこないと思いますが,「白い冬」という今から46年も前にリリースされた「ふきのとう」という二人組のデビュー曲です。

 https://www.youtube.com/watch?v=hgQayudEPzo 私がよく聴いたのは大学生の時で,この曲が世に出てすでに7~8年たっていました。1年ほど前にウチの10代の娘がこの曲を口ずさんでいて「ギョッ!」とした(笑)のですが,「テレビで小田さん(小田和正)が弾き語りをしていて気に入った」とのことで,こんな親がいると子供も悪影響を受けているようで心配です(笑)。またまた余談が過ぎましたが,「ふきのとう」というフォークデュオの名前は御存じでしょうか。植物の方(蕗の薹)は有名で,冬場に天ぷらとかで食することもあるので,季節的には許されるかな(?)と思ったりしています。それで本題ですが,なぜ大逆転(!)したのかと申しますと,本校伝統の「総合的な学習の時間」の総決算である3年生の「模擬県議会」が開かれた(写真上段)のが12月9日(木)だったのですが,本校には,「総合的な学習の時間」というのが学校現場に授業として入ることになる前の今から20年ほど前に,そのような授業を研究するように文科省から研究指定を受けて3年間,当時は「未来総合科」という教科名で研究をし,現在に至っているという伝統があります。http://www.secsch.naruto-u.ac.jp/data/parent/principal/2014/2_14056499159525.pdf 

   今回は昨年から文科省の指定も受けている関係で,この日は国立教育政策研究所の教科調査官や徳島県教委の指導主事の先生方も参観に来てくれました。この模擬県議会は,3年生全員が体育館に入って朝からほぼ1日かけて行い,来年度は自分たちの番である2年生も1時間参観し,午後からは保護者の皆様にも公開するのが伝統です。今年は地元新聞社や放送局も午後からの討議の時に取材に来てくれました。その模擬県議会で,政策を発表していた与党の党名が「ふきのとう(党)」だったのです(写真2段目)。クラスごとに党名を付けているのですが,毎年「こんぺい党」とか「Hottoもっ党」などユニークな党名をクラスごとに考えています。これは,決してダジャレを狙っているのではなく,それぞれに意味を込めて,そして印象に残るような党名をということで,これも伝統的に続いています。与党,野党と言っても決して,現実の議会の論戦のようなものとは違って,野党は与党の政策に関して反対ありきでは無く,純粋に多面的な観点から調べ,疑問点を質問したり,よりよい方法を紹介したりします。決して,どこかの国の国会のような(!)揚げ足をとるような発言はありません。与党側も想定質問を時間をかけて考え,しっかりと時間内に答弁していました。ちなみに,この時の様子が翌日地元の報道番組で流れたのですが,インタビューを受けた女生徒は,「様々な政策に対して,質問するのも,それに答えるのもどちらもとても大変でした。政治家の方々の苦労の一端がわかったような気がします」と,その場でのインタビュアーからの急な質問にも関わらず,このように答えていました。15歳の子供たちのこの声をしかるべき所(!)に届けたいと思いました。本校の卒業生には現職の国会議員も県会議員もいらっしゃいますが,機会があれば子供たちを激励してもらえたらありがたいと思っています。今回,3年4組が考えた「ふきの党」の由来は,もちろん有名なフォークデュオは全く関係なく(そもそも知らない!)議案書を読むと,「蕗の薹の花言葉は,仲間と待望です。仲間は徳島県民の団結力を,待望は徳島の未来への期待をこめて,この花言葉を持つ蕗の薹を党名にすることにし,『ふきの党』と名付けました」と書いていました。本当に子供たちのセンス,深い考えにはいつも感心します。校長なんかよりずっと思いが深いです。(改めて言われなくても皆さんご存じ〈笑〉)来年度から中学校でも全面実施となる,新しい学習指導要領のキーワードは「深い学び」なのですが,今の子供たちの学びの深さをより深めるとなると,我々教師側のスキルアップというか,少しでも教養を積み重ねるために,情報収集や読書が必須であることを改めて痛感させられました。

   さて,新型コロナウイルスの感染拡大は,連日感染者数が過去最大と報道される程,深刻な状況が続いています。本県では,発症者数が他県にくらべて少ないものの夏場よりずっと感染者数は増えました。しかしながら,車で走っていてすれ違う高速バスの乗車数は,夏頃よりはるかに増えています。近畿圏と隣接する本県ですから,これから年末年始にかけて油断はできません。子供たちには先日のリモートでの集会でも,「今一度,あの分散登校が始まった頃の学校生活を全校で思い出しましょう。感染状況はあの頃よりずっと深刻です。」と話したものの,先にも述べましたように,人間にとって「慣れ」とは恐ろしいもので,本当に最近は緊張感が足りないな,と自分にも言い聞かせています。寒い中での換気,冷たい水での手洗いを少しでも抵抗なく習慣付けられる方法やイメージアップ作戦(!)を教職員一丸となって考えていきたいです。

 この「慣れ」が怖いのは,感染症だけではもちろんありません。こういう時だからこそ,避難訓練にも真剣に取り組みました(この文章を考えている時〈12/12〉偶然,青森で震度5弱の地震発生!)。今回は午前中の授業時間中に抜き打ちで,訓練用の放送を入れて実施しました。私は廊下に出て放送直後の様子を耳を澄ませて聞いていましたが,子供の歓声のようなものは一切聞こえず,特別教室での授業中の生徒も含め,400名近い生徒が粛々と運動場へ避難しました。その後,津波を想定して校舎上階へ避難したのですが,あらかじめ連絡しておいた近所のなかよしこども園の園児100名ほどと一緒に避難しました。園児は普段上り下りする階段より遙かに一段一段が高い本校の階段を,4階まで上りました。2歳児たちとは,本校の3年生が手指消毒をした後,手を繋いで上りました。ゆっくりした足取りで,全く声を出さずに,お兄ちゃんお姉ちゃんの手をぎゅっと握って階段を上る園児たち(写真3段目)を見ていると,手を繋いでいる中学3年生との13年間のビフォーアフター(!)にちょっぴり感動しました。新型コロナウイルスとは違って「近い将来必ず起こる」とは言われているものの,それがいつかはわからないのはまさに「予測不能」な状態であって,被災すれば,その地域は一様に生活が制限されてしまうので,常々こういう訓練を捉えて家族ともしっかり話し合って欲しいものです。今回,地元徳島市が災害避難所に指定している本校の体育館に備蓄していた非常食と水が,期限切れが近いため全て入れ替えをした関係で,古い方(賞味期限まであと1年)をいただけたので,生徒と教職員に配りました。本校で生徒用に備蓄してあるのは乾パンのたぐいなので,水やお湯をいれて食べることのできる五目ご飯や,わかめご飯には生徒も興味津々だったようで,私はさっそくこの日の夕食にしました!食べながら校長室で,新型コロナウイルスの深刻な感染状況や病床の不足がひっ迫していることを伝える報道番組を見ながら,「今,大規模な地震が起こったら・・」と思うと,古びた脳の回線がショートしそうでした。しかし,生徒指導同様に楽観視は禁物で,より悪い事態を想定して対策を考えなくてはなりません。優先順位を考えながら,できる備えにぬかりがないか,検討が必要だと思っています。

    しかしながら,備えや対策は絶対に手は抜けませんが,毎日の学校生活を送るうえで,我々が常にそれを気にして眉間にシワを入れていたのでは,子供たちも学校生活が楽しくありません。マスク越しにでも通じる笑顔,明るい声,それらがもたらす安心感が生活を落ち着かせ,感染症対策や非常時の対応にも余裕を持って向かうことができるのないかと思います。ということで,(下段の写真)をご覧ください。どうでしょうか,この屈託のない笑顔!日頃どれだけストレスをためて仕事をしているかの裏返しかも知れませんが‥(笑)。これは,本校の若手チームが参加した「徳島県教職員バドミントン大会」の時の写真です。この大会は本県の教育会が主催するもので,教育会は徳島県内の幼,小,中,高,特別支援の各校園の教員とそのOBも加盟する,本県の教育関係で最大の組織です。したがって,この大会にも県下の各校種から参加できるのですが,何と今回参加していた中学校チームは我が校だけでした!本校の若手教員が1ヶ月くらい前から,子供たちが部活を終えて帰ってから,研究委員会や,学年会が終わってから,体育館に集まり夜遅くまで楽しそうに練習をしていました。大会を運営してくれている小学校の校長先生から,「中学校も参加してくれてありがたいです。でも,附属中学校って毎日忙しいのではないの?」と,びっくりしたような感じで聞いてくれました。休憩時間にこんな記念撮影していたのもウチのチームだけで,決して強豪チームではありませんが,会場となった体育館の中で一番盛り上がっていました(やかましかっただけかも?〈笑〉)。管理職も二人とも駆けつけ,写真を撮ったり,おやつを配ったりして楽しんでいる様子は,本校のことなど普段は全く興味のないであろう(!?)県下の小学校や,特別支援学校の先生方の目には,とても不思議に映ったかもしれません。「これぞ,開かれた附属中学校!!」とご満悦な表情の前列中央の校長の「軽さ」が,写真からも伝わるのではないかと思います(笑)。ちなみに私と,その後ろの教頭先生以外は,みんな選手として大活躍(!)しました。私は競技については全く詳しくありませんが,素人目に見てもウチのチームのメンバーは,とにかくゲーム中,よく床に転がっていました(笑)。
   まだまだ続くこのコロナ禍において,まずは教員が元気で,そして笑顔で子供たちと接することができるように本校教職員がワンチームとなって頑張っていこうと,気持ちを新たにした令和2年の師走です。

 



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