校長室から

♪ 卯(う)の花の匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ   ♪ 2020年6月23日





  早いもので,本校では通常の学校生活が戻ってきてまだ2週間ですが,先日(6月21日)は夏至を迎えました。令和2年度の学校生活がスタートしたばかりだというのに,もう夏の到来・・。そして,徳島市は薄雲がかかっていましたが,日本全国で部分日食が見られたようです。つぎにこの天体ショーが日本で見られるのは,2030年だそうです。10年後というと今の中学生は,そのほとんどが社会人になっていると思いますが,前回の日食が10年前だったという報道を聞いて,中学時代の今を振り返り,「あの時は,新型コロナウイルスの影響で,3月から5月まで休校になって,総体も無くなり,オリンピックも延期になって大変だったなぁ。今はワクチンのおかげで心配は減ったけど・・」等と,感慨深く思い出す日が来るのでしょうか。

  まだまだ感染予防に向けて気は抜けませんが,今年は,2年前のような猛暑が予想され,梅雨入り前後からかなり暑い日が徳島でも続いています。そんな中で,新しい学校生活が始まり,体育や部活動の時,そして昼食時以外は子供たちも教師もずっとマスクを着用していますが,感染拡大の予防と共に熱中症対策も求められます。目に見えないウイルスへの対策は万全を期さなくてはなりませんが,熱中症は目に見えて症状が現れますし,急激に状態が悪くなることもあります。授業者もマスクをつけたままずっと授業をしているとかなり疲れます。そこで様々なタイプのフェイスシールドも試してみましたが,どれも一長一短があります。ただ大きな声を出さずに授業が進められる「ハンズフリー拡声器」は飛沫防止の点からも有効で,利用している先生(写真上段)も多いです。また,日常の生活の中では手洗いが欠かせません。朝登校してきて教室に入る前はもちろん,特別教室での授業のあとも欠かさず行うようにして,子供たちも生活の中で,手洗いの励行は定着してきているようです。しかしながら,本校は設計の古い校舎でもあり,教室前の水道(蛇口)がとても少ないです。新たに手洗い場をつくるスペースも無いので,とりあえず,現在ある教室前の水道の蛇口を1つ増やしてもらいました。前回の写真との違いがおわかりいただけるでしょうか(写真2段目)。1つ増やすといっても一端全部外して等間隔につけ直すため,結構大がかりな工事となりました。当初は水道を止めての工事となるため,休日しか工事ができず,土日だけで作業を行うと,全部完了するには一ヶ月は必要と言われました。確かにそれくらいの時間が必要なのでしょうが,今大事なのは国会の答弁ではありませんが,『スピード感のある対応』です。業者さんも私たちの状況に理解を示してくれたのか,一挙に大人数の職人さんが駆けつけてくれて,土日の2日間で全てを完成させてくれました。隣との距離は狭まってしまいましたが,手洗いの能率はかなりアップしました。次の課題(次から次へと生じる課題に,どう対応していくか。将来に向けて,課題解決能力を育んでいる子供たちに恥ずかしい姿は見せられないというプレッシャーもあります)は,教室の換気でした。エアコンを入れても定期的に教室の換気をするようにとの事ですが,本校はガス冷暖房設備のため,室外機を設置している側の窓をエアコン運転中に開けると,ガス臭が教室に立ちこめます。昔のタイプに比べて,室外機の運転音は静かになったのですが,ガス臭(無臭のガスにあえて付けている臭い)は以前のものよりキツくなっています。そのため,本校では教室のエアコンを稼働させるときは,ガスの臭いが教室に入らないように一斉に電源を入れるようにしています。それで,休み時間に文科省が奨励するようにエアコンがかかったまま短時間で換気をするにしても、廊下側の窓しか開けられず,十分な換気ができないので窓が開けられない教室の西側の前と後ろにサーキュレーターを設置してもらえれば,換気も能率的にできるのではないかと思ったところ,ちょうど,TVで扇風機などを使った実証実験でその効果を紹介していました。確かにスタンドタイプの扇風機を置くだけなら,電源工事も必要なく,安価で済むのですが,現在教室はいっぱいに広がって席を配置しています。そのような状況では,小型で,扇風機よりも遠くまで風の届くサーキュレーターの設置しかないと思いました。この空調中も換気をするように,との通達があった時はすでに分散登校が始まっており,1週間後には平常日課になるという時でした。それで,授業もしていない暇な私は,本校から車で30分以上かかる設置者である大学本部へいきなり乗り込んで(!)来て現状を切にお願いしました。「確かに,サーキュレータは効果的ですねぇ。しかし,スポットクーラー同様全国的に品薄らしいですし,壁掛けタイプのサーキュレーターというのは見たこと無いですよ」等,現状や課題を説明してくれましたが,でもこのままでは・・とお願いしましたら,業者に連絡してくれることになりました。(費用は急には無いので後で考えるということでしたが,2年前にスポットクーラーを買ったときも後先考えず,部活動と,体育授業の状況を考えてとにかく業者が在庫に持っていた4台全ての購入を決めた後,次の入荷は2ヶ月待ちと聞いて,お金の目処も十分無いままに決めたとはいえ,その結果、間一髪助かったので今回も‥・・企業経営者なら落第ですね〈笑〉)それで業者さんと現場を見ながら,打ち合わせをしてると,とにかく12クラス,24台のそれなりの性能の機材がどれだけ集められるかにかかっている、と言われたのですが,何と1週間で,国内のあちこちから集めてくれたようで工事が始められる事になりました。可能なら,土曜,日曜の2日間で一気に仕上げて欲しいと、これまた無理を承知でお願いしたところ,普通は3人くらいでする電気工事(天井をめくって,サーキュレーターの近くにコンセントを設置)に7名ほどの職人さんを導入してくれたおかげで,1日で仕上げてくれました。「子供が喜びます」とお礼を言ったら,みなさん笑顔で,「早く仕上げられてよかったです」と言ってくれました。結局,大学へ思い立ったら吉日とばかり駆け込んで相談して,2週間ほどで予定通り,設置が完了(写真3段目:写真はクーラーが入っていない状態でサーキュレーターを回して書道の授業をしている様子です)しました。壁掛けタイプがないので,電気屋さんが全教室,後ろに設置したサーキュレーターには厚めの合板と大型L字アングルで設置台を自作して壁に固定してくれました。前方のは棚の上に吸盤のついた固定パーツで頑丈に留めてくれました。思いの外風量もあり,音も静かで,換気だけで無く,エアコンを入れていない時も動かすとかなり涼しい,と1日めから子供たちにも教員にも大好評でした。いろいろと制限ばかりが多い中で,みんなが笑顔になれる出来事の一つとなりました。これは教室内のエアコンの温度の均一化にも貢献しています。冬場の暖房はさらに効果が期待できそうです。早速,先日大学に行ってお礼を言いましたが,「子供がとても喜んでいます」と話したら,みなさん「それはよかった」と笑顔で言ってくれました。「ホンマ,附属中の校長は次から次へといろいろ注文が多いなぁ」と面倒くさがられているのは重々承知しておりますが,それもこれも「子供たちのため」という大義名分のもと,次なる課題に向けても,職員からいろいろと知恵を出してもらっているところです。例えば3年生の手洗い場は廊下の外にあり,屋根が無いため,雨の時は不便なのですが,その状況で半世紀近く使ってきました。しかしながら、これだけ頻繁に手洗いをするようになると,先日の大雨の時は傘をさして手洗いしたり,手を洗う以上に頭も濡れていた生徒もいたので,急遽テントを立てました。飛ばないようにハシゴに登ってできるだけ高い位置にステーを張りました(写真下段)が,万全とは言えません。(ロープにつけている本校のマスコット『フチュッピー』の絵は,ロープの存在を示す危険防止用です)簡易テントは雨よけだけで無く,日よけにもなってこれはこれでいいのですが,何とか改良をしたいものです。

  平常な日々が戻ってきたとは言え,消毒を始め,初めて経験する真夏の授業に対しても,課題はまだまだ山積しています。しかし,マスク越しにでも聞こえてくる子供たちの生き生きとした声が響く学校は,あの休業状態とは全く違い,生命感に満ちあふれています。再びあのような事態にならないように気を配りながら,そして情報収集も欠かさず,学習面でも体力面でも一番負担をかけてきた子供たちの成長をしっかりと支援していきたいと思っています。 

  最後にタイトル曲です。私は70年代,80年代のフォークやJポップと並んで,唱歌も大好きで,校長室に蓄音機を置いている話はかつていたしました(もし,興味があれば〈無いと思いますが・・〉下のバックナンバーをご覧ください)が,学校が始まったばかりなのにもう夏至を迎えた今,まさに私の大好きな唱歌の一つ,『夏は来ぬ』を思わず口ずさんでいました。新しい年号のその出典が,初めて日本の万葉集だったことから,万葉集がブームになって,それと共に令和という年号にいろいろな夢を描いたのはほんの1年前だったのに,なんだか遠い昔のような気がするのは私だけしょうか。リモートワークが主流となり,ネット通信が生活の一部になった今こそ,「夏は来ぬ」のような文語体を味わい,この歌詞をかみしめると心がほっとします。中学生なら,(ぬ)は完了の助動詞で,それが終止形となり「夏が来た」という意味なんだ,というのは理解していると思います。これは,国語の時間より音楽の時間に先に習うのでしょうか。私は今の新型コロナの影響に関係なく,この曲を鮫島由美子さんのアルバムで毎年この時期によく聴いてきました。(蓄音機用のSP盤は,この曲は残念ながら持っていません)自分の育った町が美馬郡(県西部の素麺の町)の田舎であったこともあり,この曲を聴いて歌詞に登場する卯の花,ホトトギス,五月雨,田植えの早乙女,橘,等々、初夏を表す風物を思い出しながら,目を閉じると野山や川を走り回った幼い頃の自分が思い出されます。こんなことをいう私はすでに壮年期をとっくに通り越して初老の域なんだと自覚しております。明治29年の今の季節に世に出たこの名曲を,こういう時代だからこそ,我が国の風土の素晴らしさを見直しすとともに,何かとギスギスしがちな心をほぐすためにも,是非一度ご試聴いただければ幸いです。 https://www.youtube.com/watch?v=qa6PvmbLyq0
 



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