校長室から

協働-新たな価値の創造に挑み,未来を切り開くために- 2015年1月2日





始めに,Webページの記載をもとに近未来を予想してみたいと思います。

5年後の2020年東京五輪の頃には,日本製の自動運転車が選手や競技関係者を運んでいるでしょう。また,携帯電話型の音声翻訳システムが実用レベルとなり,訪れる外国人との日常会話は可能なレベルになっているでしょう。2027年には「リニア中央新幹線」が開通し,最高時速500キロで品川・名古屋間を40分で移動できるようになっているでしょう。

2030年には,地上と宇宙をエレベーターでつなぐ宇宙エレベーターの建造が開始され2050年に完成しているでしょう。これまでにない輸送機関であり,SFの話のように思うかもしれません。実は,2030年に最大の問題となっていた宇宙と地球を結ぶケーブル材料をつくる技術が確立すると考えられているのです。

一方,このような近未来に向けて課題もあります。宇宙エレベーターの場合,人類の発展や経済を大きく左右する可能性を秘めた構造物であることから,多くの国の関係者とお互いの利害を考慮して協議を重ねる必要があります。同様に,リニア中央新幹線であれば用地所得に関する地権者との交渉,翻訳システムであれば適切に翻訳するための異文化理解を挙げることができ,いずれも関係者の理解・協力なしには解決できないのです。

このように,年月と共に科学技術は著しく進歩することが予想されますが,様々な民族,利害が相反する人々が「協働」していくことは容易でなく,課題として残っていきそうです。このことは,様々な紛争を繰り返している人類の歴史を振り返りましても当てはまるように思います。

こうしたことから,これからの社会をよりよく発展させていくためには,科学技術の進歩はもとより,目的を一にする多様な価値観,異なる文化や歴史をもつ人々が,根拠に基づき,お互いに理解できるまで話し合い,わかり合えることが重要であり,そのためには「協働」がキーワードになると確信しています。

なお,ここでいう「協働」は,同じ目的のために一緒に事を行う「共同(cooperation)」や,合作や共同作業を行う「協働(collaboration)」とは別のものです。すなわち「協働」とは,考え方の異なる人,生活習慣や文化が違う人などで集団を作ることを前提とし,その相互作用によって,より効果的・効率的に行われる活動を指しているのです。

ハイブリッドカーを例にするとわかりやすいかもしれません。エンジンは燃料を簡単に補充でき長い距離を走ることができますが,構造が複雑な上に空気を汚し,熱・騒音・振動を発生させます。モーターは,このエンジンの長所と短所が逆になります。そこで,エンジンとモーターを組み合わせることで,それぞれの長所を生かし短所を補い合って,より効率よく快適な自動車をつくったのです。人間も同じで,自分とは全く違うタイプの人が協働できれば,すごいことができるに違いないのです。

そこで,私は,揮毫式において「協働」を揮毫し,互いに尊重し合いながら,新たな価値の創造に挑み,未来を切り開いてほしいという話を生徒にいたしました。

このような話を受け止め,仲間と協働して最適な手だてを探し出すといったことに知恵を働かせ,自分もまわりも,ひいては社会をも活性化させる人になろうとする生徒が育っているのは,保護者の皆様が普段から人権を重視し,言語環境や生活習慣に配慮した適切な家庭教育を行い,手厚く附中教育を支えてくださったおかげ以外の何物でもありません。

こうしたことから,保護者会の皆様に深く感謝いたしますと共に,今後とも本校の教育活動にご支援・ご協力くださいますようお願い申し上げます。

【参考にしたWebページ】

自動運転 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76776800Y4A900C1000000/

音声翻訳技術 http://www8.cao.go.jp/cstp/5minutes/004/

火星移住計画 http://www.tel.co.jp/museum/magazine/spacedev/130422_interview02/

リニア中央新幹線 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO65595030Q4A120C1L91000/

宇宙エレベーター http://www.jsea.jp/about-se/How-to-know-SE.html

 

 



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