校長室から

揮毫式「敬和の精神」 2013年1月8日





平成25年1月8日の揮毫式において「敬和」を揮毫しました。

その思いは次のとおりです。
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世界八十カ国以上が参加して実施している国際プロジェクト「世界価値観調査」をもとに「主要国における新聞・雑誌やテレビに対する信頼度」を調査したデータをWebページで見つけ興味を持った。
 
それによると,新聞・雑誌の信頼度が72.5%と日本が最も高くなっている。
ちなみに,この信頼度を低い順にみると,オーストラリア11.4%,英国12.9%,米国23.4%,イタリア24.7%となっており,日本の新聞・雑誌への信頼度がいかに高いかが伺える。このことは日本の新聞・雑誌の内容が信頼に足るものであることを裏付けているという見方ができるが,一方で,日本人の多くは,マスメディアの報道を鵜呑みにする傾向があるとも言える。つまり,日本人の多くは報道等を批判的に読み解かないため,同じ考えになってしまう傾向があるということを自覚しなければいけない。
 
さらに,私が危惧するのは,多くの同じ考えとは異なる考えを持つ人に対して「変わっている」「みんなと違う」といった見方をし,受け入れようとしない傾向があるのではないかということである。
 
みなさんは,どうであろうか。
進路等,自分の進むべき未来について,様々な情報を集め,それをもとによく考え,自分なりの判断をしているだろうか。友だちの意見や社会の慣例等に沿っていることで安心感を持ち,そうではない人を軽視したり,異端視したりしていないだろうか。また,そうすることで物事の判断に対する責任を逃れていないだろうか。
 
このように論を展開すると,みんなと調和することを否定しているようであるが決してそうではない。むしろ,日本人に前述した傾向があるがゆえに,しっかりとした自分の考えを持った上で「和」を敬ってほしいのである。
 
和の大切さは,聖徳太子により制定された憲法十七條に「以和爲貴,無忤爲宗」(和を以て貴しと為し,忤ふる[逆らう]こと無きを宗とせよ)と記されており,「和がもっとも尊(貴)いこと」「違う考え方に対して逆らうことなく,まずはしっかり聞くこと」と解いている。
 
また,論語子路篇には「子曰 君子和而不同 小人同而不和」(君子は和して同ぜず小人は同じて和せず)と記されており,「優れた者は誰とでも仲良く付き合うが,しっかりした自分の考えを持ち,人とむやみに同調しない。一方,つまらない者はまわりの意見に調子を合わせるが,自分が不利になったりすると,すぐ仲が悪くなる。」と解いている。
 
すなわち,私は「和」を「真実や正義等を踏まえ,自分の考えをしっかりと持ち,安易に妥協したり,雷同したりすることなく,むしろ,自分の意見や考えを通じて,調和を図ること」と捉えている。
 
今,日本は,中国の日本製品不買運動,アメリカにおける財政の崖問題,ユーロ危機等を乗り越えかけようとしており,経済面において明るい兆しが見え始めている。こうした状況を発展的に継続するためには,ヒト・モノ・カネ・情報などの移動を国境を越えて盛んに行うべきであり,そのためには,ここで述べた「敬和」の精神が欠かせないのである。
 
これからの時代を生きる生徒の皆さんには,自分の考えをしっかりと持つとともに,多種多様な意見を傾聴し,その上で歩み寄ったり,最適解を探し出したりすることに知恵を働かせることで,自分もまわりも,ひいては社会をも活性化させる人になって頂きたい。
こうした思いを込め,校訓にも使われている「敬和」を揮毫した。
 
生徒の皆さんが,この敬和の精神を生かして大いに活躍することを祈念して止まない。
 


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