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附属中学校の新年は、揮毫式とともにやってくる。今年で62回目を迎える本校の伝統の行事である。
揮毫式を行う体育館の空気は、冷たくぴんとはりつめて、心地よい。日本人が、なぜ書き初めを大切にしてきたかもわかり、思わず背筋が伸びる。先輩たちの揮毫(名前を記すこと)による61本の雄名録(掛け軸)に見守られて、この学校に学ぶことの意義を考えてみる機会となった。
「良い先輩がいることは、ほんとうにありがたいこと。何より誇りが持てる。」という言葉を聞いたことがある。
今年、私が記した言葉は次のようである。
去稚気(ちきをされ)
「今日よりぞ 幼心をうち捨てて 人となりにし 道を踏めかし」
これは、吉田松陰が松下村塾の塾生に与えた言葉であるが、時代を動かした幕末のリーダー、高杉晋作や伊藤博文たちは、こうした教えから生まれた。「去稚気」もまた、同じ意味を持つ言葉である。
高度情報化社会を生きるわれわれは、あらゆることをよく見聞きし自分の考えを持つこと、また他の人と考えを分かち合うことで、考えをさらに深いものにしていくことが求められている。
「今日からは、子供っぽさと訣別し、自らを育てながら生きていく人に」これが、新しい年を迎えるのにあたって、心にとめてほしい言葉である。
校 長 谷木 由利