(これは、4月1日の本年度最初の職員会で、私が本校教職員に話をした資料です)
今年のキーワードは「 豊かな心」 と「 豊かな学び 」
・「豊かな心」とは、子供たちが感情や自己認識を大切にして、他者に対して思いやりを持てる 心の状態であり、 この「豊かな心」が育まれることによって、学びに対する積極的な姿勢が 生まれ、子供たちが自分の成長を実感しやすくなるのではないかと思います。そして、子供 たちは自分に自信を持ち、仲間との関係を築く力や共感力が向上し、そして、クラスの中で の良い人間関係を築くことで、学習環境がよりよくなるものと考えます。
・「豊かな学び」とは、単に知識量の多さを言うのではなく、それらへの深い理解や広い視野か ら捉えたそれぞれの内容の習得です。子供たちがその知識を内面化して、自分の持っている 情報と結びつけながら、自分の考えを見いだすことができるように、そして、その知識を活 用していこうとする過程を大切にしていけるように、支援をお願いします。
・「豊か」という言葉は漠然とした印象に捉えられがちですが、古くから教育者がこの言葉を唱 えていて、学術的な意味合いも知られています。誰もが大学で学んだ(採用試験の勉強でも!) ピアジェやブルーナーは、「単なる情報の記憶を超えた、知識を活用する力を育てることが豊 かな学びである」と言っていますし、デューイは、「学びの豊かさは、個々の違いを尊重し、 異なる視点を受け入れられる力となって表れる」と述べています。
・「豊かな学び」は、異なる視点や価値観を尊重することにより、学びの過程で多様性を取り入 れていくことになります。それは、「協働的な学び」において、お互いの意見を尊重し、意見 の深まりや多様な見方・考え方を促進することにもつながります。そして、それぞれの持っ ている知識は、協働的な取組の中で相互に作用しながら発展し、それによって子供たちは新 たなアイデアを生み出し、思考が深まります。それはまさに「深い学び」と言われる学びの 状態であると思います。
・「豊かな心」と「豊かな学び」の関係性は、上記のことからも、「豊かな心」が育まれること で、違う意見や考え方を受け入れられるようになり、互いに協力して、共通のゴールを目指 す姿勢、まさに折り合いを付ける力が育ち、学びの質が向上することで、「豊かな学び」へと つながるのではないかと思います。また、「協働的な学び」の中で、異なる価値観を持つ仲間 と共に学ぶことで、広い視野で物事を捉える力が養われるであろうということも、価値観が 違っても深く話し合える仲間関係が築かれているという、土壌があってこそだと思います。
・「豊かな心」が育って、子供たちが感情的に安定し、クラスの中で良い人間関係が築ければ、 上記のように「協働的な学び」の場も活発に設定でき、その結果「深い学び」を促進でき、 子供たちは自分の関心や興味に応じた学びを深めることができ、「個別最適な学び」にもしっ かりと取り組めるのではないかと思います。
・「豊かな学び」がこのように、「豊かな心」が育つことで推進されれば、子供たちは自分で考 え、実行する力が高まるものと思います。そして、その学びを振り返り、次の目標を設定す ることができるようになり、そのことで「自己調整力」が高まり、自分に合った「個別最適 な学び」も一層強化されるのではないかと思っています。
・附属中学校は研究をしなければいけない学校ではなく、研究をするのに適した環境の学校で す。それ故、次世代の教育を模索した研究を通して授業実践することで、各自の心がけ次第 で、一般校に勤める数倍の早さでの授業力の向上が期待できます。教育実習生を育てること も、指導教員のスキルアップになっていることを実感しながら、教師自身が常に「自己調整」 しながら自分を鼓舞し、研鑽に励んでください。
・「子供ファースト」を忘れず、子供に向き合うことを最優先する教師集団であってください。 子供たちが素直に育ち、教員との関係性もよくなると、授業も充実するし、研究も進みます。 研究が先でも部活が先でもなく、子供と向き合うことが先であるという、順番を間違えない で取り組んでいただきたいです。
・教職員が仲がよく、笑いが絶えない職場であると、子供たちの関係性もよくなるものです。 子供は私たちをよく見ています。「チーム附中」の結束力をいつでも子供にも示せるように、 共に努力していきましょう。 令和7年度、どうかよろしくお願いいたします。 (文責:大泉)